一般に千羽鶴というと、「折り紙で1羽の鶴を千羽折り、糸などでつないだもの」をいいます。
桑名に伝わる千羽鶴は、「1枚の紙に切り込みを入れるだけで連なる複数の鶴を折る」独特の「連鶴」です。
桑名市では「連鶴」を「桑名の千羽鶴」として、市の文化財に、折り方・技術を無形文化財に指定して保護育成を図っています。
「連鶴」の歴史ついては前回の桑名の連鶴「桑名の千羽鶴」で。
「桑名の千羽鶴」 は桑名市博物館、桑名市民会館、六華苑(大正2年完成の2代目諸戸清六の邸宅と庭園)などで展示されていますので見学が可能です。
「連鶴」の作品の一部をご紹介します。
拾餌(えひろい)
花見車(はなみぐるま)
巣籠(すごもり)
鼎(かなえ)
百鶴(ひゃっかく)
それぞれ、形からくるイメージによって命名されているということですが、どの作品も元は1枚の越前和紙。
2羽から97羽まで、どれも1枚の和紙で作られていて、1羽ずつは「普通の鶴と同じ折り方」(桑名市博物館館歴史専門官で連鶴の指導に力を入れる大塚由良美さん)。
しかも、「普通の折り鶴ができれば連鶴は作れる」(大塚さん)ということで、大塚さんの指導で「連鶴」作りに挑戦!
今回チャレンジするのは「妹背山(いもせやま)」。これは2羽の鶴が翼を揃えて並ぶもので、2羽の鶴の接点がやや多いので初心者向けだとか(接点が少なくなればなるほど難易度が増します)。
用意された和紙は長方形で中心に切れ込みがあるもの。2ヶ所に○印がつけられています。
大塚由良美さんによると、連鶴の基本は「1羽の鶴が完全に折れること」。
「1羽の鶴さえ折れれば、慎重に折れば誰でも連鶴を作ることが可能」ということ。
「それなら大丈夫かな」と、連鶴「妹背山」に挑戦開始!
折り初めて早速、注意されたのが「机の上で折らない」ということ。
「連鶴はひとつひとつの作業を正確に、きちんと折らなくてはならない」のですが、「手に持ったまま折る」ことが大原則。
なぜなら、「机の上で折ると、腕などで和紙を引っ張ったりする可能性が高くなり、結果として引きちぎれてしまう危険性が大」(大塚さん)とのこと。
慣れない空中での折り紙に苦戦が予想されます・・・。
大塚さんの的確なアドバイスもあって、何とか「妹背山」が完成!
くちばしと翼、尾の先がちょっと不揃いなのはご愛敬。
繊細に繫がった和紙を裁たないため、机の上でと強くこすらないためとはいえ、机の上で折らないということが、ことのほか難しいというのが感想です。
1枚で2羽が並行に繫がっている「妹背山」だけでも難しい。
97羽という膨大な数の鶴が繫がっている(くどいようですが1枚の紙から97羽です!)のはさぞやと、大塚さんに質問してみると、
「百鶴(ひゃっかく)のように平面で横に繫がっているものよりも、実は「巣籠(すごもり)」のように親鶴に子鶴が乗るような立体、層になっているもの方がが難しい」とのこと。
実際、一番難易度が高いのが下の写真「迦陵頻(かりょうびん)」だそうです。
親鶴の上に子鶴をのせて・・・、というのが「迦陵頻」。並行に連なるにのと異なり、接点も微妙な感じです。
「桑名で行われている教室でも、最終目標はこの『迦陵頻』を折り上げること」。
まあ、ここまで折れれば達人の域でしょう。
「迦陵頻(かりょうびん)」
桑名の連鶴「桑名の千羽鶴」は「楮(こうぞ)」「三椏(みつまた)」「雁皮(がんぴ)」を原料とする、いわゆる「和紙」を使用しなければ作ることができません。「和紙は繊維が絡み合っていて、多少の力を加えても切れにくく丈夫だから」です。
そのためには、上質の和紙を選ぶことが外せないポイント。
「『桑名の千羽鶴』を 伝承していくことは、和紙の保存にもつながっているのです」と、大塚さんもキッパリ。何やら使命すら感じる迫力です。
桑名市の「桑名の千羽鶴を広める会」では、熱心な活動が続けられています。
六華苑(大正2年完成の2代目諸戸清六の邸宅と庭園)、桑名市博物館、桑名市民会館などでの「桑名の千羽鶴」の展示だけでなく、定期的な連鶴の制作講習なども開催しています。
ぜひ機会を見つけて桑名を訪ね、連鶴「桑名の千羽鶴」に挑戦して下さい。
■取材協力/桑名の千羽鶴を広める会(大塚由良美)
桑名市・三重県東京事務所
桑名市東京PR事務局(ストラテジック・デシジョン・イニシアティブ)
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