農林水産省が選定する「日本の棚田百選」。文化庁の文化財保護法によって守られる「重要伝統的建造物群保存地区」。このふたつがダブルで指定されるエリアが、白馬村の青鬼(あおに)地区。
国道148号(千国街道)を岩岳入口の北で分かれ、通(かよい)地区の姫川第2ダムから、急峻で細い道をくねくねと上ると、谷間に開けた台地があります。それが青鬼。
アルプスの村・白馬では、白馬三山・北アルプス側の山並みを「西山」、反対側の丘陵地を「東山」と総称していますが、青鬼はなだらかな丘が広がる「東山」に位置する集落です。
上の写真は、青鬼の棚田越しに眺めた北アルプス・白馬連峰。6月の平日というのに、カメラマンや絵を描く人で賑わっていました。
「大型の団体バスでやって来るケースもあって、すれ違いができないので冷や冷やのことも」
とは地元の人の話です。
こんな山間の小さな集落がなぜ「重要伝統的建造物群保存地区」に指定されているのかといえば、かつてここに善光寺へと通じる善光寺街道・柄山峠越えの道が通っていたから。中世〜近世には松本平や越中の人もこの道を通って、鬼無里から善光寺へと詣でたというわけです。
白馬村の各所に縄文遺跡や古墳時代の円墳もあり、白馬を流れる姫川の「姫」は高志国(古代に敦賀から山形県庄内にかけて存在したとされる王国=律令時代の越後・越中・能登・加賀・越前の5国)の姫君・沼河比売(ぬなかわひめ、奴奈川姫)に由来するともいわれていますから、かなり以前から善光寺平へと抜けるルートがあったのかもしれません。
重要伝統的建造物群保存地区に選定される青鬼には、上の写真のような「ガッタリ」も復元されています。鹿脅しのように水の重みを利用して米を搗く道具で、水車ほど大がかりな仕組みでなくても精米できるので山村では重宝されました。正しくは添水唐臼(そうずからうす)とか、水唐臼と呼ばれる仕掛けです。
集落には青鬼神社、「向麻石仏群」、「阿弥陀堂石仏群」(上の写真)といった宗教関連の遺跡も点在しています。
シマウマ-クラブ取材班は目下、白馬エリアのスポットを取材・充実中です。
この夏は、アルプスの村、白馬へ!
2012年06月15日
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posted by シマウマ-クラブ at 11:15| 白馬のおすすめ