2012年12月18日

横浜・野毛をハシゴする その2 福田フライ・鳥芳・大衆酒場 栄屋

馬車道吉田野毛柳通り.jpg

関内の馬車道を通じて西洋文化が流入した(左)吉田町名店街は開港時の横浜道の一部。今はさまざまな店が軒を連ねる(中上)「イル・カーリチェ」はイタリアワインが豊富(中下)野毛柳通り(右上)にある鳥芳(右下)

アイドリング要員のバジルを出て、馬車道方面へ散歩。野毛から都橋を渡り、吉田町方面に向います。この吉田町はもともと入江だったところを、江戸前期に材木商の吉田勘兵衛が新田開発を行ない「吉田新田(野毛新田)」と呼ばれた埋立地。北をJR根岸線のあたり、東を中村川、西を大岡川に挟まれた釣り鐘状の田畑ですが、1674(延宝2)年の検地で1038石ほどあったとか。それ以外の村はほぼ漁村で、野毛も野毛浦と呼ばれた小さな漁村でした。

しかし象の鼻と呼ばれた砂洲の突端(現在の横浜港)と、この吉田新田の間には、まだ広大な入江(沼地)が横たわっており、19世紀前半になってようやく横浜新田(現在の中華街)が、幕末には太田屋新田(現在の中区太田町周辺)が開拓されました。このあたりが1859(安政6)年の横浜開港の中心となる関内で、幕府は人の出入りを管理しやすいように、周囲を川と堀割りで区切り、橋のたもとには関所を設置、外国人居留地を整備しました。つまり、この関所の内側が関内というわけです。

しかし本来欧米列強の要求は、東海道・神奈川宿近くの開港だったわけで、当時は寒村で不便な横浜村の開港を納得させるためにも、幕府は開港に合わせ、東海道と開港場を結ぶ道路を突貫工事で通します。これが横浜道と呼ばれるものですが、実はこの吉田新田と大岡川河口の野毛浦を結ぶ橋や道路が、現在の都橋(野毛橋)であり、吉田町名店街(吉田堤)です。そしてこれが吉田橋(太田橋)の関門を通って、関内へと通じた(慶応3年には馬車道も造成)、つまりこの辺りは、東海道と横浜港を結ぶ当時のメインストリート、というわけです。

宮川橋から見た都橋.jpg

左手にある大岡川沿いの湾曲した建物が都橋商店街、正面が都橋。川を挟んで右手は吉田町名店街。そして吉田橋、関内の馬車道へと、かつて開港の道は続いていた

そんな馬車道は、まさに西洋文化の流入口ですから、○○の発祥といわれる店やモニュメントが集中するエリアですが、実は個人的に気になる「イル・カーリチェ」という店を訪問。完全にイタリアワイン好き限定で恐縮ですが、この店、ミラノで消費されるため、日本にはあまり入ってこない「オルトレポー・パヴェーゼ」の直輸入をしているので、店内で一人狂喜乱舞。無理矢理歴史にこじつければ、かつての太田屋新田なんです、ここも。

その後野毛小路にとって返し、まずは完全立ち飲みの「福田フライ」。看板もない小さな店ですが、むちゃ込みするというので、開店時間きっかりに突撃したらまだ開いていなかった(__;) けど、お母さんに「油沸いたよ」と呼ばれ、やっと入店。一番乗りなのでカウンターの最奥に陣取り、アジとクジラとタマネギを注文。いわゆる串カツですが、ニンニクがたーっぷり効いた辛いソースにとっぷりつかって、パンチ力絶大です。

野毛小路福田フライ.jpg

野毛小路(左)にある福田フライ(右)は、立ち飲み串カツの店。お客が自分で串カツにソースをつける大阪方式とは異なり、お母さんが揚げたてを自家製のソースにつけて出してくれる。これは唐辛子とニンニクたっぷりの辛いソースバージョンの方

ここはさくっと切り上げ、野毛柳通りの「鳥芳」へ。店内には、何ともまったりした空気が流れていました。先客2名もそれぞれ1人客で、ともに常連さんですが、店主ともども自然に話かけてくれるので、ほのぼのと話が盛り上がりました。福田フライ同様とても小さな店で、L字のカウンターのみですが、こちらは立ち飲みではなく座ることができます。普通は宴会がある12月はかき入れ時ですが、「うちは12月は比較的暇だから」と店主のお父さん。宴会ができるほど店が広くないからでしょうね。

焼鳥屋が多い野毛では店選びも迷いますが、ここは昼間通りがかりに、貝類の串焼きを仕込んでいる姿を目撃したので(笑) 鳥ばかりだと飽きてしまうし、貝大好きだし。アサリ串とホタテ串が、おいしかったです。もちろん、鳥モツも。ステーキもおすすめだよ(焼き鳥屋なんですけどね)と言われましたが、次があるので退散。隣の人、日本酒のグラスで赤ワインを飲んでいて、それがまたこの店の雰囲気に合うんだなぁ。

大衆酒場栄屋.jpg

これぞ居酒屋という雰囲気の栄屋。刺身の盛り合わせに穴子の白焼きも旨い。店の空気感もほのぼの。お父さんが一人の時は、注文を店の奥にある厨房まで言いに行ったり、酒を自ら取りに行く常連さんも

次は長者橋のたもと近くにある「大衆酒場 栄屋」です。店とは関係ないのですが、この一角は、なんと横浜発展の礎となった、吉田新田を開発した吉田勘兵衛の旧宅があったところ。現在は、その子孫が経営する吉田興産のビル等になっていますが、ここから横浜の埋立事業が始まったわけです。摂津出身で江戸で財をなして御用商人となり、横浜を開発した江戸時代からのディベロッパーが、今もここに息づいているわけですね。

そんな歴史的な場所にある栄屋ですが、ここもまた雰囲気がいい。まだ暖簾が出ていなかったので、外のベンチに腰掛けていると、「あれ?待ってたの?寒いから入りなよ」とお父さん。これまたすっと話しかけられたので、常連ではないのに、さっそく馴染んでしまいそう。お父さんは自然体で、注文をしても「まだお母ちゃんが来てないから、それはないよ」とさらり。ならばお母さんの到着を待ちましょう、と客に思わせるのは、やはり人柄のなせる技。穏やかな空気感でしょうか。「どこでも好きなところに座って良いよ」と言われたのですが、徐々に込みはじめ、あっと間に満席。せっかく新規客が入って来ても断っていらしたので、我々は退散しましょうかと申し出たのですが、「うーん、いいよ」と商売っ気もない。刺身も美味しかったし、またリピートするな、ここは。



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posted by シマウマ-クラブ at 19:20| 横浜のおすすめ