世界屈指の規模を誇る巨大な阿蘇カルデラは、中央火口丘である阿蘇五岳(通称阿蘇山、噴火口のある山は阿蘇中岳)を境に南北に二分され、北を阿蘇谷、南を南郷谷(南阿蘇谷)と呼んでいます。この阿蘇パノラマラインは、その南北の盆地を縦断するという絶好の観望道路なのです。
熊本空港からレンタカーを利用する場合は、熊本と南郷谷(南阿蘇谷)を結ぶ県道28号(熊本高森線)もおすすめ。阿蘇外輪山外側の西原村から扇の坂を上りきったところが、標高700mの俵山峠で、峠からは七曲がりとなって南阿蘇村(旧久木野村)へ下ります。峠の頂上部分には「俵山展望所」があり、阿蘇五岳やくじゅうの山並みが一望のもと。南外輪山のなかでは随一の眺望を誇る場所です。国道渋滞時の迂回路としても活用される県道28号ですが、地元ではその眺望は「大観峰以上」という人もいるくらいです。
南外輪山ナンバーワンの展望地、俵山展望所
さて、本題の「阿蘇パノラマライン」ですが、これは愛称で、県道111号、阿蘇市黒川の阿蘇駅前交差点と南阿蘇村吉田を結ぶ、外輪山縦断道です。かつては有料道路として「阿蘇登山道路」とも呼ばれていました。南側の入口は、国道325号と交わる吉田交差点で、地元ではここから中岳の入口近くまでを「阿蘇吉田線」、そこから北の黒川までを「阿蘇坊中線」とも呼ぶようです。
標高も高く、ヘアピンカーブが続く道なので、冬季の運転は天候によってタイヤチェーンなどを要装備、とくに朝夕は路面凍結の恐れがあるので、道路状況の確認と、慎重な運転を行なう必要があります。しかし途中には「池ノ窪園地」など穴場的存在の景勝地があり、まさにジオパーク的な景観が得られます。ここから「地獄温泉・清風荘」または「垂玉温泉山口旅館」に向かい、どちらかを南郷谷の基地にするのがおすすめです。
火の山トンネルの南、御竈門山(おかまどやま)の山腹にあり、南郷谷を眼下にする池ノ窪園地