2013年05月15日

残雪残る春の棚田&ブナ林 (3) 松之山・美人林の新緑

美人林のブナとため池.jpg


星峠の棚田で、なんだかんだとすっかり栃木の人と話し込みすぎて、2時間以上もいてしまい、もう時間がない。

本当は久しぶりに松之山のアッチッチ共同湯、「鷹の湯」(松之山温泉の元湯・源泉で、日本三大薬湯のひとつ)に浸かろうとか、せっかく十日町に来たんだから由屋のへぎそば(布海苔=海藻をつなぎにした杉板盛りの手打ちそば)も食べて帰ろうとか、つらつら考えてたのに、なんかもう全部すっ飛んだ。今回は美人林で打ち止めかぁ。遠出した割にとれ高少くなっ(__;)

でもまあ、駐車場に行ったら結構な人出。観光バスまで入っている。ってことは、午前中に来ていたら写真どころの騒ぎじゃない。人が入りまくって。もうピーク時を過ぎていたおかげで、比較的ゆっくり撮れたのか。

にしても駐車場からほんの数十メートルでこのブナ林とは、ものすごい手軽さ。今も現役の農業用水であるため池(周囲の棚田を潤すため、明治末期に造られたもの)に、ミズバショウまで咲いている。そりゃ、人来るわなぁ。

美人林ミズバショウ.jpg

美人林新緑の芽吹き.jpg


それにしても、聞きしに勝る新緑の美しさ。いやー、もっと早く来ていれば良かった。今ではあまりにもメジャーになりすぎて、すっかり行く気が失せておったところでした。でもやっぱりきれいなものはきれい(^_^; 芽吹きサイコーっ!!

この美人林、木炭の原料にするため、昭和初期に一度全部伐採されたものが自然再生したブナ林。樹齢は80年から90年ほどといい、大正末期に造られた炭焼き窯の跡も現存。

通常ブナの天然林は、手つかずの自然が残された場所に多く、原始の森ゆえにアプローチが困難。ハイキング装備が必須なわけです。しかしこの日は何の考えもなしに、晴れてる、じゃあ行くか! と飛び出して来たため、足もとはモカシン(¨;)

幸いまだ雪がたくさん残っていたから良かったものの、これが溶けていたら、ぬかるみでドロンドロンだぁ。萌黄色をした新緑の芽吹きと、幹周りにポワンと丸い根開け(根元の雪どけの穴)を同時に見られたし、ラッキー。

美人林根開け.jpg


しっかし「美人林」とは、実にナイスなネーミング。こんなに手軽にブナ林が見られるのは、これが二次林であり、またそれほど標高が高くない(美人林の標高は300m足らず)にもかかわらず、松之山を含む妻有郷(つまりごう)が日本有数の豪雪地帯だから。もちろん、このブナ林を地元の人が大切に保護してきてくれたおかげですね。

保水力のあるブナの森は水源涵養保安林にもなっており、雪解け水をブナや落ち葉が生み出すクッション性の高い土壌で保持。これが春になり田を潤し、棚田も含めて天然のダムのような役割を果たしている。ブナが「緑のダム」と称されるゆえんです。

そんな里山だからこそ、今ではブッポウソウ、アカショウビン、ノジコなど、全国的にも希少な野鳥の宝庫にもなり、2013年5月26日(日曜)には、「松之山探鳥会」(参加費無料)なるものも実施。実はコレ、今年で57回を数える大イベントで、美人林やこれと隣接する十日町市立里山科学館「越後松之山森の学校 キョロロ。」の森(バードピア須山)などで、バードウォッチングが楽しめます。

また「キョロロ。」ではこのほか、直近の日曜、2013年5月19日には「草木を学ぶ会」、6月2日(日曜)には米作り体験の一環として、地元の人とともに行なう「田植え・田の草取り」など、自然体験のイベントが目白押し。家族連れにもぴったりです。






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posted by シマウマ-クラブ at 10:27| 新潟のおすすめ