2013年11月02日

苦渋のくじゅう連山 その5 修験場の流れをくむ法華院温泉山荘

今宵の宿は坊ガツル湿原を眼下に、三俣山・中岳などくじゅうの山々に囲まれた標高1303mに位置する法華院温泉山荘。約500年前の開湯という歴史をもつ湯治場であり、もともと山岳修験の霊場として道場が建立され、それがそのまま宿坊から山荘へと変遷。

そんな歴史ある天台宗の修験場が、今では山小屋となっているわけですから、さぞかし古めかしい建物か思いきや、近年のリニューアルを経て、オープンデッキやらソファーも置かれた食堂、大船山、平治岳、立中山を望む男女別大浴場など、山小屋らしからぬ相当お洒落な雰囲気。

当初は大部屋で雑魚寝初体験か! と勇んでいたものの、個室も空いていたので、ログハウス風の湯治場にでも泊まりに来たという感じ。

法華院山荘と三俣山.jpg

三俣山を背景にする法華院温泉山荘

法華院山荘個室.jpg

個室は簡素な造りだが、山小屋でこのレベルは大変立派


某阿蘇の薄壁で会話丸聞こえの旅館よりも、こっちの方が皆さん朝早い分だけ夜は静かだしちゃんとしている(^◇^;) しかし同行者は、これが山小屋の標準だと思っちゃいけない、トイレも戸外に出なくてすむし、廊下は暖かいし、温泉はあるし、最大級に豪華だから、とのたまう。ハイハイ、わかってますがな(行ったことないけど)。

で、ご飯もおいしいし、プチデザートまで付いてる。食堂にはテレビもあるし、部屋にいるよりも明るくて暖かいから、そこでまったり焼酎を飲んでいると、アマチュアカメラマンらしきおじさまが「ご一緒してもいいですか?」とおっしゃる。どうぞどうぞ。

法華院山荘の夕食.jpg

法華院山荘の朝食.jpg

食堂で出される夕食(上)と朝食(下)。ボリュームもあり満足できる


聞けばアマチュアというよりセミプロに近い方で、今日は三俣山と大船山にささっと登って紅葉の様子を見てきたとのこと。ええっ、わたしなんか大船だけでひいひい言っているのに、ホンマでっか!? なんでも年間100日以上山に通っているらしい(驚)。山荘の食堂でも定位置が決まっているとか。

法華院山荘の食堂.jpg

法華院温泉山荘の食堂。奥にはテレビや山に関する書棚があり、内容も充実


大船山に着いたのは3時すぎだったとのことで、どうやら御池でニアミスだったよう。「あ、でも私岩の上にいましたから」と、事もなげにおっしゃる。ええっ、あの御池のとんがった岩の上? 登れるんですか?って、これまたびっくり。

「あ、でも皆さん御池の紅葉を撮るために来ているのはわかってるので、邪魔にならないよう、気づかれないように、時々そーっと岩から顔出していたんですよ」って、忍者か!?(実際、岩の上に鳥がいるのだと思っていた人もいたらしい)。

そこで、三俣山どんな様子でしたか、とお聞きしたら「うーん、本当はもっと赤くなるんだけどもういいんじゃないですか。台風も来るし、もう見頃と言っていいですよ」とのこと。どういうルートで行くのかと聞かれたので、スガモリ越で西峰からと言ったら、「南峰直登がいいですよ。早いし、紅葉といったら小鍋・大鍋、北峰がメインだから、時間がもったいない」と。

ここでお調子者全開のツレ。「そうですか、やっぱり三俣山行くべきですか。自分は問題ないけど、この人めちゃくちゃ登りが遅くて」などと、こいつがブレーキみたいなことを言って、完全においらをスケープゴートに。それはホントの話だが、さっきまで明日の三俣行き、とても止めたそうにしていたよね、アンタ。よくまあヌケヌケと(-_-) おうおう、ケンカ上等。もう風呂入って寝るわ。
(つづく)

法華院温泉山荘大浴場.jpg

大船、平治、立中の三山を望む大浴場。九州最高所の温泉は、カルシウム・マグネシウム・ナトリウム-硫酸塩泉で、筋肉痛、疲労回復などにも効果あり





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posted by シマウマ-クラブ at 09:26| 九州のおすすめ