2014年02月15日

紀州路絶景ドライブ(9) 樫野埼灯台とトルコの関係とは?

樫野埼灯台.jpg

日本最初の石造灯台、回転式閃光灯台である樫野埼灯台


紀伊大島に渡ったらはずせない場所のひとつが、この樫野埼灯台。島東端に位置する海金剛や樫野埼灯台周辺の台地は、溶岩が冷え固まった火山岩、流紋岩が波浪で削られたもの。岩礁や暗礁が多い場所でもあります。

これらに沖を北上する黒潮がぶつかることで潮の流れが大きく変わり、またその流れも早いことから海難事故が多く発生。ゆえに幕末から明治初期にかけ、いち早く灯台が建てられたというわけです。ちなみに設計はあの灯台の父・ブラントン。




旧官舎のまわりにはイギリス人灯台技師が孤独な生活を癒やすため、本土から取り寄せて植えたという水仙が見られます。新たに植栽されたものを含めると、現在その数12万本。日本水仙の見頃はまもなく終了となりますが、西洋水仙はこれから。

樫野埼灯台スイセン.jpg

ニホンズイセンの見頃は12月下旬〜1月下旬、西洋水仙は2〜3月

で、下の立派な碑は何かというと「トルコ軍艦遭難慰霊碑」。樫野埼灯台は完成したものの、ここが海の難所であることに変わりはなく、明治23年、熊野灘を航行中のオスマン帝国(トルコ)巡洋艦エルトゥールル号(2344t)が遭難。

この時、旧大嶋村樫野地区の島民により献身的な救助活動が行なわれ、580余名のうち69名を救助。遺体は座礁した「船甲羅の岩礁」を見下ろす丘に埋葬され、生存者は日本の軍艦によりトルコに帰還したとか。のちに昭和天皇の行幸にともない、トルコ共和国初代大統領ケマル・アタチュルクが慰霊碑の建設を決定。

トルコ軍艦遭難慰霊碑.jpg

樫野埼灯台下で座礁沈没したエルトゥールル号の組員を慰霊

そんな串本町はメルシン市と姉妹都市提携。現在も節目の年には、トルコ本国からトルコ海軍の艦船が訪れ、駐日トルコ大使などを招いて慰霊祭が行なわれているといいます。

町には友好の証としてトルコ記念館などもあり、館内には遭難したエルトゥールル号の模型、当時の遺品や古文書を展示するほか、トルコの民芸品なども。また2階の展望台からは、580余りの命が失われた「船甲羅の岩礁」を眼下にします。

トルコアイス.jpg

近くにはトルコの織物や民芸品を販売する店も。名物ののびーるアイス「ドンドルマ」でひと休み





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posted by シマウマ-クラブ at 22:08| 和歌山のおすすめ