2014年01月17日

沖縄・今帰仁村で「第7回今帰仁グスク桜まつり」を開催

深い雪に閉ざされた世界遺産・白川郷のライトアップに対し、沖縄の世界遺産・今帰仁(なきじん)グスクでは早くも桜開花の一報が! なんと12月下旬にはすでに開花していたとのことで、いやはや、日本は広い。

今帰仁グスク桜まつり.jpg


この今帰仁グスクにあるのはおもに寒緋桜(緋寒桜=ヒカンザクラとも)なのでそもそも早咲きですが、それにしても早い。

今帰仁村(なきじんそん)では、2014年1月18日(土曜)〜2月2日(日曜)には『第7回今帰仁グスク桜まつり』を開催。

2014年1月16日(木曜)現在で全体としては2、3分咲きとのことですが、一部見頃の木もあるとか。地元では例年旧暦の正月に見頃になるといわれているので、ピークは1月下旬頃ではないかとのこと。ちなみに同じ日程で、お隣の本部町八重岳でも「第36回本部八重岳桜まつり」を開催。こちらは全体で5、6分咲き。山頂は一部見頃とのこと。

今帰仁グスクの園内には約200本の桜があり、18:30〜21:00(入場は20:30まで)にはライトアップも実施。初日の1月18日(土曜)には17:30からオープニングセレモニーとして舞や点灯の儀式などが行なわれます。

期間中は、北山王(ほくざんおう)・王妃との写真撮影会、グスクガイドによる今帰仁城跡、城下町である今泊周辺トレッキングツアー、特産物試食会などなど、各種イベントが盛りだくさん。また国道から今帰仁城跡へと上る坂道にも日本一早く咲く桜(寒緋桜)の並木があり、こちらもドライブ途中に注目を!

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琉球王国のグスク及び関連遺産群」として世界遺産に登録されたグスクのひとつ今帰仁城跡(グスク)。首里城に次ぐ1万7000坪という面積を誇り、城跡からは東シナ海を眺望する







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2013年02月25日

2013年3月7日、新石垣空港オープン!

いよいよ来月の3月7日、石垣東部の白保地区に、新石垣空港(南ぬ島=ぱいぬしま石垣空港)が開港しますね。東京・羽田空港からの直行便は、日本トランスオーシャン航空(JTA)が1日2往復、全日空(ANA)は3月31日からとなりますが、1日1往復運航され、観光客の増加が期待されています。開港にあわせ、JTAの新塗装機・SWAL(スワル)ジェットの投入や各種イベントも開催され、注目度もアップです。

しかもなんと3月17日には、早くも八重山を代表する底地(すくじ)ビーチは海開き! 先日、青森県・八甲田山の麓に湧く酸ヶ湯(すかゆ)では、5m以上の積雪を記録というニュースも流れたなか、信じられないような暖かさ。石垣市観光協会のサイトでも、新空港開業に連動した特集を組んでいますので、3月に石垣を訪れる人は、要チェックですね。

ちなみに新空港近くの白保海岸は、世界でも有数のアオサンゴの海で知られ、民宿ではグラスボートも運行しています。またこの白保集落は、伝統的な神事や家屋を大切に守る街並みでも有名。ぜひ一度立ち寄りを。

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サンゴ礁が広がる美しい石垣島の海

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2013年02月24日

沖縄・本部半島巡り(3) 沖縄美ら海水族館・備瀬のフクギ並木・嵐山展望台

本部半島最大の観光スポットといえば、半島の北端・備瀬崎近くにある、「沖縄美ら海水族館」ですよね。

昭和50年開催の国際海洋博覧会跡地に造られた、国営沖縄記念公園・海洋博覧会地区のなかにあり、水族館のほかにも、熱帯植物が茂る熱帯ドリームセンター、17世紀から18世紀の沖縄を再現したおきなわ郷土村などがあり、見応え充分です。

しかしなんといってもはずせないのは、沖縄美ら海水族館。厚さ60cm、高さ8.2m、幅22.5mの巨大アクリルパネルで造られた大水槽に、全長8.5mものジンベイザメ、ナンヨウマンタなど、1万7000匹もの魚が悠々と泳ぐ姿は、映画館のワイドスクリーンよりもはるかに迫力があり、まさに息をのむ海の芸術といったところ。

沖縄美ら海水族館.jpg

係員による解説もあり、一日居ても飽きない沖縄美ら海水族館

この美ら海水族館からすぐそこにあるのが、「備瀬のフクギ並木」。公園北端のエメラルドビーチから北の備瀬崎に続く集落で、路地のそこここに素敵な並木道が見られます。

このフクギもガジュマルと同じく、屋敷林の一種。防風や日除けのために沿岸部に植えられ、碁盤の目のように区画された備瀬の集落全体が、このフクギ林に守られています。

並木道は何本もあり、伝統的な石垣や瓦屋根の木造家屋も残されているので、お気に入りの場所を見つけながら、ゆっくりと集落全体を散策するのがおすすめ。また西側の海岸線に向かうトンネルの並木を抜けると、目の前には透明度抜群の海が展開。

とくに集落北端に位置する備瀬崎は、沖に伊江島を望む絶好のビューポイント。水の透明度も抜群で、岸からでも魚影が見えるほどです。シュノーケリングに最適な入江もあり、地質的にも大変古いものなので化石観察や磯遊びにもおすすめです。

さらに、もし本部周辺に宿泊するのなら、ぜひ見て欲しいのが夕景。当地では東シナ海に沈む夕日を特別に「ゆうもどろ」と称しますが、茜色に染まる空と海、沖に浮かぶ島々という、最高にロマンチックな瞬間が待っています。

素朴な集落なので、駆け足の観光客向きではありませんが、のんびりと過ごすには実に風情があり、いいところです。

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集落全体で2万本もあるという備瀬のフクギの並木。もっとも古いものでは、樹齢250年から300年とか。所要約20分で集落を一周できる水牛車も出ており、穏やかなフクギ並木をゆっくりと楽しむことも可能


この後、もちろん今帰仁城跡(なきじんじょうあと)にも寄るべきでしょうが、これはいちばん下のリンクを参照して頂くこととして、最後に「嵐山展望台」をご紹介。

キャッチフレーズは、「沖縄の瀬戸内」とも「沖縄の松島」とも呼ばれるのですが、内陸側から行くと、展望台にたどり着くまでは、延々と丘陵地の農道を行くので、一面広大なパイナップル畑が続き、本当にこの道で大丈夫? と不安に駆られるほど。

しかもたどり着いた先にある展望台もたいして高さがないので、さらに不安をあおります(^_^; で、2階に上がるとご覧のような眺め。ええ、まさに沖縄の瀬戸内です、松島です。なんなら「沖縄の九十九島」と呼んでもいいです。羽地(はねじ)内海と沖に浮かぶ島々が一望のもとで、まさに絶景なのです。

ちなみに嵐山のパイナップルは、地元でもその味の良さが評判。展望台1階の売店でもパイナップルが直売され、試食も可能です。露地もののパインの旬は、例年7月末から9月中旬で、最盛期には近くの畑でも直売されていますのでお試しを。

嵐山展望台.jpg

眼前にかつて塩作りが行なわれていたヤガンナ島、野鳥の楽園でもある屋我地(やがじ)島、遠くに古宇利(こうり)島、伊平屋(いへや)島などを望む嵐山展望台


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2013年02月23日

沖縄・本部半島巡り(2) やちむん喫茶シーサー園・ピザ喫茶花人逢

本部半島の内陸部を走る県道84号(名護本部線)は「そば街道」などとの別名もあり、沖縄そばの名店が目白押しですが、実は「山カフェ」「森カフェ」なるものも多いところ。山の中や森の中にひっそりとたたずむ隠れ家的カフェで、交通の便はよくないけれど、苦労してたどり着いた先には絶景が待っている、というもの。

今やそれが流行ともなり、隠れ家カフェもやや飽和気味ですが、その草分け的存在が、「やちむん喫茶シーサー園」です。手つかずの深山に沖縄の古民家がぽつねんと建つロケーションは、やはり得難いもの。2階の縁側に座れば、家屋を吹き抜ける風と南国の風景に心和みます。ちなみに「やちむん」とは、焼きもののこと。当初焼きもののショップとしてオープンするも、オーナーである宮城さんの趣味が高じて、このような形になったとか。約1万坪もの敷地は、まさに自然植物園さながらで、散策も可能です。

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やちむん喫茶シーサー園。ジャングルの密林のなかにあるカフェといった風情(上)。1階は、焼きもののギャラリーも兼ねている(左下)。別棟にはテラス付の建物もある(右下)


もう一軒も抜群の人気を誇る、隠れ家カフェ「ピザ喫茶花人逢(かじんぼう)」。ここの自慢は、なんといってもその眺望。下の写真でもおわかりのように、眼下には濃紺の海、間近に伊江島、瀬底島、水納島の島々と、360度の大パノラマが広がる絶好のロケーション。素敵な店内の随所でオーナーのセンスが光りますが、実はこの赤瓦が印象的な琉球家屋自体も、オーナーの手作りとか。メニューは、天然水でこねたもっちりとしたピザと飲み物のみですが、この景色を求めて、休日は行列必死の人気ぶりです。

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ピザ喫茶花人逢眺望.jpg

このロケーションに誘われて、訪れる人が後を絶たないピザ喫茶花人逢。ここでも、やはり人気は縁側の席(上)。入口ではシーサーが出迎えてくれる(左下)天然水で入れたコーヒーには黒糖が付いてくる(右下)
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2013年02月22日

沖縄・本部半島巡り(1) ヒンプンガジュマル・名護市庁舎・山原そば

沖縄の本部半島も、那覇からのアクセスに関していえば利便性が高いとは言い難いのですが、それでも琉球統一前の三山時代(南山、中山、北山の3勢力で分割領有した時代)、北部を領有した北山王の拠点となった今帰仁城跡(なきじんじょうあと)は、王府・首里城に次ぐ規模のグスク(城郭)として、世界遺産「琉球王国のグスク及び関連遺産群」にも登録されており、有名です。

しかし、グスク関連やビーチ巡りだけでなく、ここでは本部半島の付け根にあたる名護を拠点に、ぐるりと半島を巡るドライブプランをご紹介。ややてんこ盛り感が否めませんが、2日に分けて回るのが得策かと思います。

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まずは名護のお膝元で樹高は19m、幹周りは10mにもおよぶ「ヒンプンガジュマル」を見物。これは道のド真ん中に立つガジュマルの大木で、樹齢は240年とも300年ともいわれるもの。ヒンプンとは屏風のことで、沖縄ではガジュマルの木を生け垣に見立て、風除けや悪霊が入るのを防ぐ屋敷林として用いるとか。それが市街入口に立ち、まさにご神木的存在にもなっているのが、このヒンプンガジュマルです。

すぐ近くにはオリオンビールの製造工場「オリオンハッピーパーク」もあり、工場見学が可能で、かつ試飲にはソフトドリンクの用意もありますが、ドライバーにはあまりに酷というもの。運転の必要がない時に訪れましょう。

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次に建物好きであれば、名護市庁舎にも立ち寄りを。市庁舎としてはかなり不思議な外観なのですが、日本建築学会賞を受賞し、建築界ではその名が知られた公共建築(設計は象設計集団)。単なる庁舎建築というより、そこにある空間全体を地域の住民が集う祭りの場「アサギ広場」として捉え、そこにテラスとしての市庁舎がある、というものです。コンクリート造のテラスが爽快な風の通り道となり、そこに配された緑や深いルーバーが、遮熱効果を生み出しています。

外から眺めると、開口部の広さが尋常ではなく、建物の周囲をほとんどがテラスが占めているかのよう。実質的に稼働する部屋の面積は相当狭いのでは? と思ってしまうほどです。しかしその贅沢な空間デザインは、まるで異国の神殿を思わせ、一見の価値ありです。

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ここから半島の内陸部へと進入。県道84号沿い、本部町伊豆味にある「山原そば」で昼食です。へ? と思うほどの外観ですが、このソーキそばが抜群に旨い。この味を求めて、開店前から行列です。土間と小上がりがある、いかにも食堂的雰囲気で味わうのがまたいいのですね。

豚のあばら肉(スペアリブ)がこれでもか! という感じで迫り来るボリューム満点のソーキそばは、豚骨とかつおがベースのスープで、しっかりとした味の肉に比べ、意外にあっさり。肉は本ソーキ使用なので、噛み応えがあります。豚の脂と柔らかめの肉がお好みの方は、三枚肉そばを、せっかくだから両方味わいたい! という方は、小サイズで両方注文という手もアリです。ただし、売り切れ次第閉店なので、訪問はお早めに!



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2013年02月21日

沖縄・やんばるの森散策(4) 安波のタナガーグムイの植物群落

もともと沖縄北辺は観光的にさほど注目されず、それゆえ学術的にも貴重な自然が守られてきたという側面があります。それが今や癒しの森として注目を集めていますが、まだまだ原始性が保たれている場所があります。それが、国頭村(くにがみそん)の東海岸に位置する安波(あは)地区。

かつてこの集落には、川沿いの急斜面に茅葺きの家が階段状に建ち並び、その数は100軒近くにものぼったとか。それが過疎化や高齢化により、共同で茅を葺く作業ができなくなり、90年代を最後に茅葺きの住宅はすべて姿を消したとのこと。また安波川と普久川が合流する河口には、津(河港)があり、近世末期から昭和30年代までは山原船と呼ばれる舟運も盛んで、沖縄の中南部とも交流がありました。背後にあるやんばるの豊富な森林資源が、建築材料や燃料の薪や炭となり、この舟運を使って運搬されていたわけです。

安波という地名も、諸説ありますが、一説には浦添地方の安波茶からその名があるともいわれ、浦添から船でやって来た人々が集落を開いたともいわれます。そんな背景もあり、独自の民謡・安波節をはじめ、他の山原の地域とはやや異なる文化的土壌があったわけですね。

そんな安波ですが、現在交通の便からいっても、訪れる人はそう多くありません。ただやんばるの自然を堪能したい人にとって、その原始性の高さは魅力。なかでもやや秘境的雰囲気を醸すのが、タナガーグムイの植物群落です。タナガーグムイとは、エビが棲む川の淵を意味し、それ自体は普久川中流域の小さな滝壺にすぎませんが、周囲をイタジイ(スダジイ)の原生林に囲まれ、リュウキュウアセビ、アオヤギソウなどが自生する特殊な植生は、国の天然記念物にも指定されているほど。

ただ滝壺までは、県道70号を100m少々入った駐車場から足場が悪い場所を下るので、しっかりした足ごしらえが必要です。とくに雨後は土や岩がすべりやすいので、要注意。転落事故、水難事故にはくれぐれも注意が必要ですが、たどり着いた時には、静寂に包まれたその淵に、なんともいえない神秘的なムードを感じます。

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密林のなかに神秘の淵が姿を現す、安波のタナガーグムイ
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2013年02月20日

沖縄・やんばるの森散策(3) 辺戸岬

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辺戸岬突端には日本祖国復帰闘争碑が立つ

沖縄本島最北端の岬・辺戸岬(へどみさき)。周辺は多少観光化されていますが、その雄大な景色は一見の価値ありです。この辺りも大石林山と同じく石灰岩層からなるカルスト地形が発達、先端には「日本祖国復帰闘争碑」も立っています。この碑は、昭和47年に行なわれた沖縄返還の後、昭和51年に建てられたもの。

かつて沖縄がアメリカの施政権下にあった当時、眼前の海(北緯27度線)には国境があったたため、毎年4月28日に、辺戸岬と鹿児島最南端の与論島で篝火を焚き、本土復帰を訴えたという運動の歴史と平和への祈りを今に伝える証です。

また切り立った海食崖の上は草原状の台地が広がっており、遊歩道も整備されているので散策には最適。断崖の下に目を転じれば、サンゴ礁が縁取り、水に溶けやすいカルスト台地特有の鍾乳洞(洞窟)も口をあけています。この変化に富んだ奇観と透明度の高い海は、ダイバーの間でも隠れた人気スポット。しかしそう考えると、空洞部分に地下水(湧水)がたまりやすい洞窟があり、そこが聖域となりうる沖縄独特の御嶽(ウタキ)は、このカルスト地形がもたらした産物ともいえるのですね。

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辺戸岬断崖.jpg

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2013年02月19日

沖縄・やんばるの森散策(2) 大石林山

沖縄本島の最北端に位置する辺戸岬ですが、そのすぐ南西にあり、若干テーマパーク的な雰囲気をもつのが、大石林山(金剛石林山)です。奇岩巨石が林立するカルスト地形で、標高200m前後の岩山をめぐる4つのコースが設定されていますが、「ソテツ越しのカルスト地形」というのが、いかにも沖縄的。ちなみにこのソテツ群、もともとは食用で植えられたものとか。コースはよく整備されていますが、辺戸岬を望む美ら海展望台などへの道は、若干標高差もあるので、やはり足ごしらえはしっかりと。

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搭状カルストとも呼ばれる一種独特の地形が見られる大石林山。悟空岩(左)や精霊が棲むといわれる御願ガジュマル(右上)、地下水がたまった鍋池(右下)、辺戸岬、与論島を一望する美ら海展望台(下)もあり、沖縄北端の地形や植生がよくわかる


その一方で、近年注目を浴びているのはパワースポットとしての顔。実はこの周辺、琉球国開闢神話の御嶽(ウタキ)、つまり聖地のひとつなのです。琉球最初の歴史書『中山世鑑(ちゅうざんせいかん)』によれば、琉球で最初に作られた御嶽(ウタキ)が、辺戸の安須森(アスムイ、別名・辺戸御嶽)。

ムイとは、本来沖縄方言では盛り上がった地形を意味しますが、ここでは森のことを指していると思われます。神が降臨する場所でもあると考えられていることから、まさに島の北辺の渡(辺戸)にそびえる岩峰に、琉球の創成神・アマミキヨ(アマミク)が降り立ち、まず一番初めにこの安須森(ウタキ)を創り、やがて琉球が成った、という神話の世界が広がっているわけです。

現に、琉球王朝時代、首里王府でも毎年12月と5月の年2回、はるばる当地まで使者を送り、安須森の一峰・アフリ嶽の麓の大川(ウッカー、アフリガー)から聖水(若返りの水)を汲んで王府まで運ぶという「御水取り」の儀礼が行なわれていました。それほど琉球王朝でもその霊力を重要視していたわけです。

ただ、この安須森御嶽(辺戸岳)への入口は目立たない場所にあり、山頂へは20分ほどで到達可能ですが、急登で鎖やロープを伝い、足場もかなり悪いので注意が必要。また山全体が霊山という自然崇拝なので、できれば知識をもっている人からレクチャーを受けると、より理解が深まるはず。大石林山が主催する「アシムイ スピリチュアルツアー」を利用すれば、知らずに通りすぎてしまいそうな場所でも、ガイド付きで案内してもらえます。(料金大人2000円、小人1000円/1日2回10:30〜、14:00〜(所要2時間、要予約)/TEL0980-41-8117(大石林山) 携帯090-2585-8111)。

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大石林山から見た安須森(アスムイ)。宜野久瀬(シヌクシ)、アフリ、チザラ(シチャラ)、イヘヤという4つの連なる岩峰からなり、大石林山があるのはイヘヤ周辺。神が降り立つのは、南端の宜野久瀬(シヌクシ)嶽の山頂で、ここが辺戸岳山頂(標高248.3m)。その前兆が、アフリ嶽の上に雲となって現れるという。この笠雲は、一説には貴人が差す大きな日除けの傘=中国伝来の涼傘(冷傘、リャンサン)に喩えられ、琉球ではこの傘を「アフリ」と呼ぶことから、神出現の前兆が現れる山として、アフリ嶽の名がある


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2013年02月18日

沖縄・やんばるの森散策(1) 比地大滝

関東でもまだまだ寒い日が続きますが、沖縄は海開きはすぐそこ! 2月でも那覇の平均気温は17.1度と、過ごしやすい気候です。春の沖縄では世界遺産のグスク巡りやサンゴ礁のビーチなどが定番の観光地。

そんなド真ん中ストレートではなく、ここではややシュート気味のスポットをご紹介。まずは、本島北辺に位置する辺戸岬とやんばるの森のトレッキングです。ここは秘境か?と聞かれれば、そうではないのですが、比較的手軽にやんばるの自然を満喫できる場所としてオススメ。1月には早くも桜が咲くわけですから、3月には新緑が楽しめます(つまり、沖縄は2、3ヶ月気候が早い)。そんなやんばるの大部分を占るのが国頭(くにがみ)村。そのほぼ中央に位置するのが、島最高峰の与那覇岳です。

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イタジイ(スダジイ)など、亜熱帯の照葉樹林が広がるやんばるの森

この与那覇岳、標高としては503m (三角点は498m)と、比較的低山なのですが、年に3000m以上の雨量があるという、世界でも稀にみる多雨林。これは乾燥地帯が広がりやすい亜熱帯気候では珍しいこと。この多雨で湿潤なシダやコケに覆われた林が水を保持し、このような山原(やんばる)の森が発達したのですね。

その一端が垣間見られるのが、比地大滝。与那覇岳を源にする比地川中流域にあり、落差25.7mという県内最大の滝(昨日日本ハムの紅白戦で、ルーキーの大谷翔平君が活躍した、くにがみ球場にも近いデス)。

駐車場から滝壺までは木製の遊歩道も整備されており、比較的気軽に散策が可能です。所要は40分ほどですが、途中には延長50m、高さ17mの大きな吊り橋を渡ったり、階段があったりと意外にアップダウンが激しいので、運動靴や飲料水の準備は怠りなきよう。また駐車場に隣接して食事がとれる管理棟やキャンプ場も整備されているので、泊まって自然を満喫することも可能です。

ただし、現在昨年の台風被害による影響で、復旧作業のため比地大滝キャンプ場および遊歩道は、平成25年3月まで休業予定。再開に関しては下記をご参照下さい。

■問い合わせ先:国頭村観光物産センター TEL:0980−41−5555

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比地大滝の滝壺。比地大滝遊歩道は現在、森林浴効果が期待できる「森林浴セラピーロード」として認定されているコースのうちのひとつ


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